科学的根拠


睡眠トレーニング(Sleep Re-Training) の研究は2007年より、オーストラリアフリンダース大学の睡眠科学研究所にて実施されています。

この研究結果では、入眠潜時(眠るまでの時間)、睡眠中目が覚めた時間、そして総睡眠時間に大きな改善が見られました。

研究(1)2007年実施

慢性一次不眠症に対する集中的睡眠トレーニング療法:予備調査

研究者: J Harris、L Lack、H Wright、M Gradisar、A Brooks、欧州睡眠研究会、J. Sleep Res、16、276-284、2007

 

【目的】
この研究の目的は、慢性一次不眠症の治療における短期間で新規の治療法である睡眠トレーニングの有効性を評価することであった。慢性一次不眠症の選択基準に合致する17人の連続した被験者(平均年齢= 39.1歳)が治療研究に参加した。この研究は、症例複製シリーズとして行われた。

【方法】

研究の評価方法には、睡眠日誌、睡眠及び日中の活動記録およびアンケートを、治療前、治療直後、および治療6週間後の期間にわたって行われた。治療方法は一晩の断眠療法を取り入れ、短い入眠潜時(平均6.9分)、及び50回の断続的な仮眠を被験者に実施。
【結論】

治療後、入眠潜時(眠るまでの時間)が平均30.5分(標準偏差 = 28.3分)短縮。睡眠開始後の覚醒時間は平均28分(標準偏差 = 34.0分)で有意に減少。そして総睡眠時間は64.6分(標準偏差 = 45.5分)伸びた。また、活動記録、アンケート調査によると日中の活力増、疲労感軽減、眠ることに対する不安軽減に有意な改善が見られ、これらの改善は、治療週末から2ヶ月まで維持された。

HARRIS_et_al-2007-Journal_of_Sleep_Research(英文のみ)


研究(2)2012年実施

 

集中的睡眠トレーニング療法(ISR)の無作為化対照試験:慢性不眠症のコンディショニング治療

研究者: J Harris、PhD1、L Lack、PhD、K Kemp、PhD、H Wright、PhD、R Bootzin、PhD、 SLEEP、Vol。 35、No. 1、2012

 

【目的】

慢性一次不眠症に対する従来の行動介入(Behavioral Intervention)との比較および集中的睡眠トレーニングの有効性の調査。

【方法】

慢性不眠症を有する79名の被験者に無作為に以下の治療条件を割り当て:集中的睡眠トレーニング(ISR – Intensive Sleep Retraining)、刺激制御療法(SCT – Stimulus Control Therapy)、ISR及びSCTの両方、またはコントロール – 睡眠衛生療法(Sleep Hygene Treatment)。睡眠トレーニング(ISR)治療は、25時間の断眠期間に渡り50回の断続的な仮眠を被験者に実施。

【結論】

治療レスポンスは、睡眠日記、活動モニタリング、およびアンケート測定で評価。アクティブ治療群(ISR、SCT、ISR + SCT)はすべての治療法において、入眠潜時(眠るまでの時間)および睡眠効率の有意な改善をもたらし、治療前から治療後に至るまでの中程度から大きな効果が見られた。

睡眠開始後の覚醒時間は、SCTおよびISR + SCT群で有意に減少した。総睡眠時間は、ISRおよびISR + SCT治療群で有意に増加した。 ISR(ISR、ISR + SCT)を受けた被験者は、治療中に入眠潜時と総睡眠時間が急速に改善し、ISRに対応して睡眠が急速に改善されるという利点を示した。

治療群間に統計学的に有意差はほとんどなかったが、ISR + SCTは、睡眠の質、睡眠自己効力、および日中活力のアンケート測定を含む、他の治療より一貫して大きな効果の大きさをもたらした。併用療法群(ISR + SCT)は、治療中止がより少ない他のアクティブ治療群よりも優れている傾向を示し、61%が「良好な睡眠」状態に達する治療レスポンスの割合が高い。

アクティブ治療群における治療後の治療効果は、追跡期間を通して6ヶ月まで維持された。

HARRIS_et_al-2012-ISRreport_aasm.35.1.49(英文のみ)

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